2012年10月31日水曜日

企画の背景について その2

前エントリーでは共同呼びかけ人の村木さんの想いが綴られていましたが、こちらでは遠藤まめたが今回の連続講座を企画した想いをご紹介します。

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私たち「くるりん大阪」の名前は「たこ焼き」に由来しています。

「たこ焼き」をひっくり返すように、社会をくるりんと動かしたいのです。「たこつぼ」から脱して「こなもん」になる辺りも、「たこ焼き」のイメージは私たちにぴったりだと思います。

この社会には星の数ほどの問題がある中で、様々な取り組みや人々のホンネは現在「たこつぼ」化させられています。それぞれの声は届かず、お互いの余裕は失われがちで、結果としてみんなが損をしています。一人ひとりが、そんな「たこつぼ」から脱して「こなもん」のようにつながれたら、素敵じゃないですか。

・LGBTのことを知らない人とつながる

第一弾の講座のテーマは「LGBTを知らない人とつながる」です。実際に全国各地で、LGBTのことを知らない人たちと汗をかいているゲストをよんだお話を聞きます。
このまちで安心して暮らして行くためには、どうしてもつながらなきゃいけない「他者」。私たち自身も、誰かにとっての「他者」。ときにはぶつかることも、冷や汗もあるでしょう。きっと、とても面倒くさいことでしょう(涙目)。だけど、その取り組みなくして、「たこつぼ」の中にいたら、もはや明日の私たちの暮らしは守られないのかも?!ゲストの方と一緒に考えていきましょう。

・貧困と貧乏は違う

村木さんと参加した勉強会で印象的だった言葉は「貧困と貧乏は違う」でした。貧困とは単純におカネかないことじゃなく、人間としての様々なつながりも奪われて、どんどん社会のなかで追い込まれていく状態なんだそうです。

勉強会の第二弾は「LGBTと貧困」です。これもまた、単純におカネがないことだけでなく、心身や人間関係の「健康」を含めたテーマになってくるでしょう。「つながり」の対極は、無縁社会のなかでの老後かもしれないし、今すぐそばにある貧困かも。
様々な現場を生きてきたゲストのお二人と考えましょう!

企画の背景について

友人から「どうしてこの企画をするの?あまり繋がりが見えないんだけど?」とご指摘頂いたので、この企画に至った経緯と私の思いを書いておきます。このエントリーは、「くるりん大阪」の公式見解ではなく、呼びかけ人の一人、村木目線でのストーリーです。少し長くなりますが、お付き合い下さい。

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 2012年9月、私はもう一人の呼びかけ人である遠藤まめたさんを誘って、近所で開催されていた湯浅誠さんの講演会を聴きに行きました。元・派遣村村長、元・内閣府参与、今は市民活動家の方です。最近人前でお話しする機会が多いので、人気のあるスピーカーの話を聞いて参考にしたいという思いからでした。 

その講演で、すごく共感したのが、「市民活動には、もっと外交努力が必要だ」という話でした。湯浅さん曰く、元々市民活動として野宿者支援の活動をしていたが、内閣府参与になると税金を使う立場なので、自分と意見が違う人とも対話をしなければいけなかった、これはとてもシンドかった、しかし、学ぶ事が沢山あった、と。 

私は今、「虹色ダイバーシティ」という団体で、主に企業の人事担当者向けに、LGBTをダイバーシティ戦略に組み込めないかと呼びかける活動をしています。これはまさに「外交」で、LGBT当事者として何気なく使っている言葉やその背景を、LGBTという言葉さえ知らない人たちに対して、その人が理解できるカタチで説明する必要があります。例えば、性的少数者というと、その「性的」というのが会社で使う言葉としてはキツく聞こえるので、補足が必要であること、などです。

 LGBTの当事者運動、映画祭、パレード、学生サークル、地域サークル等、これだけ日本各地で、色んな人が頑張っているのに、今ひとつ大きな話題に乗らない感じがするのは、これは「外交」だという意識と、「外交」の技術がシェアされていない、という事が要因としてあるのではないか、と思いました。 

だったら、「外交」に長けている人にその経験を話してもらおう、というのが、一つ目のイベントの意図です。私自身も、すごく興味がある事です。 

ゲストですが、まず、思いついたのがひろこさんでした。ひろこさんは、今年、ディズニーランドでの同性結婚式に関連して、様々なメディアに登場しています。私が数えただけでも30は下りません。LGBTの話をメディアに掲載する際には、言葉の選び方、報道の目線など、様々な事に配慮する必要がありますが、それを記者さんたちにどう伝えているのか、それはどういう経験だったのかを聞きたいと思います。

 メディアの他に、行政関係者、教育関係者、地域の人などと一緒に、セクマイとして活動している人にも話を聞きたいと考えました。まめたさんと相談して、慎二さん、杏理さんを紹介して頂きました。私はお二人の話を聞くのは初めてで、とても楽しみです。 

慎二さんは、横浜の行政、教育関係者と深い繋がりを築いています。基本的に縦割り&横並びであることが多い行政、教育機関をどのように説得し、一緒に活動しているのか。私はそこに興味があります。

杏理さんは、福岡で「やっぱ愛ダホ」の呼びかけをしています。福岡の地域のお祭りにもセクマイとして参画しているそうです。特に地方では、カムアウトの壁が高く、地域の人と一緒に活動をするというのは大変なことなのではないかと想像します。そこに摩擦はなかったのか、当事者や周囲の人はどんな経験をしたのか、是非シェアして頂ければと思います。 

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もう一つのイベント、「セクマイ×貧困」は、個人的な経験が背景にあります。ゲストの一人である、笙子(しょうこ)さんはゲイの友人を自死で亡くしているのですが、それは私も共通の知り合いでした。

彼が亡くなったのは冬の寒い日だったのですが、私は遺品を運ぶ車の運転手として、現場に駆けつけていました。その時はただバタバタしていたのですが、その後ずっと、彼が亡くなった部屋の手触り、においを、忘れる事ができませんでした。今も鮮明に思い出す事ができます。たまに顔を合わせる程度の知り合いだった私でさえ、とても大きなショックを受けたのです。

仕事を失った事も彼の自死の背景にあったと、後から笙子さんに聞きました。これは「虹色ダイバーシティ」の目標として、「LGBTもいきいきと働ける職場をつくりたい」と掲げた、ひとつのきっかけになりました。

今年、自殺防止の大綱にセクマイが文言として入ったり、よりそいホットラインにセクマイ回線ができたりしました。一方で、生活保護の不正受給が大きなニュースになりました。あの部屋で亡くなった彼の経験、後を託された笙子さんの経験、周囲の私たちの経験を、今、広く知って欲しいと思います。

そして、この貧困の問題と切り離せないのが、依存症です。薬物依存、アルコール依存…。これらはセクマイでない人にも、セクマイにもあります。ただ、セクマイの依存症の場合は、セクマイであることへの社会的な許容度の低さのため、困難に困難が重なる事態になります。依存症になる要因に社会的な許容度の低さがあり、また、依存症になった後にも支援につながりにくい、という状況です。
重度の依存症になると仕事を続けるのが難しくなります。仕事がないと貧困になります。貧困になり、支援につながれないと、さらに依存が深まる事があります。

めばさんが、特にゲイやトランスジェンダーの薬物依存について、以前どこかでお話されていたのを聞いた記憶から、今回のゲストをお願いしました。ここで改めて、セクマイと依存症の関係を考えてみたいと思います。

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今回の企画は、二つとも、2012年の今、シェアしておくべき話だと、強く思います。90年代のいわゆるゲイ・ブームの時に20代で、LGBTとして生きる道を選んだ人たちが、今、40代になろうとしています。テレビでオネエとして出ているタレントさんたちが、ほとんど30代後半から40代なのは、この歴史の必然です。LGBTとしての人生を歩む人が増えた世代が、今、40代になり、生老病死、周囲との関係や財産問題を考えざるをえない、人生の大変な時期を迎えています。その重い決断をせまられた際に、個々別々に考え、対応していては、本当に大変な事になると思います。セクマイの当人も、セクマイではない周囲の人も、です。

そんな大変な事態に備え、少しでもヒントになる話ができたら、というのが、今回の企画の意図です。是非、多くの方のご参加をお待ちしております。(村木真紀)

11/11 セクマイ×地域 ゲスト発表

11/11(日) 「セクマイ×地域」でのゲストスピーカーは、こちらの三人です。どうぞご期待下さい!

【星野慎二さん】
特定非営利活動法人SHIP 代表。
2002年12月 性的マイノリティの支援のために任意団体「横浜Cruiseネットワーク」を設立。
2007年4月~2012年3月 神奈川県との協働事業により性的マイノリティのためのコミュニティセンター「かながわレインボーセンターSHIP」を開設。
2012年4月 法人化に伴い団体名を「特定非営利活動法人SHIP」に改名。
2012年5月 新しいコミュニティスペース「SHIPにじいろキャビン」を開設する。

【ひろこさん】
教育系IT会社で働きながら、レズビアンであることをオープンにして2011年1月よりLGBT+支援活動をおこなっている。パートナーの東小雪(@koyuki_higashi)とカップルでの活動、メディア掲載多数。来春に東京ディズニーリゾートとして初の同性結婚式を挙げる予定。現在パートナーとともに東京に暮らす。
セクシュアル・マイノリティがいきいきと働ける職場づくりをめざして、調査・講演活動、コンサルティング事業等を行う「虹色ダイバーシティ」スタッフ。
東小雪が主宰する、金沢市と金沢市の近郊に暮らすセクシュアル・マイノリティのための団体「レインボー金沢」スタッフ。
Twitter: @ataeru_onna
HP: http://www.happytogether-lgbt.com/
虹色ダイバーシティ:http://www.nijiirodiversity.jp/
レインボー金沢:http://www.rainbowkanazawa.jp/

【石崎杏理さん】
2009年から、福岡近郊の高校大学の人権の授業や、教員の研修などで、講演、福岡で「やっぱ愛ダホ!」の声かけ。
2010年から、福岡市内で月に一回、交流会「にじだまり」開催。
FRENS(Fukuoka Rainbow Educational NetworkS)メンバー。
FRENSのブログ http://blog.canpan.info/frens/

2012年10月26日金曜日

11/24 セクマイ×貧困 ゲスト発表

11/24(土) 「セクマイ×貧困」でのゲストスピーカーは、こちらのお二人です。どうぞご期待下さい!

【倉田めばさん】
Freedom代表、薬物依存回復施設大阪ダルクセンター長。尾道市出身。
大阪写真専門学校卒業。1993年フォトグラファーの仕事をやめ薬物依存回復施設「大阪ダルク」を設立。
自らの薬物依存からの回復の体験を生かして、薬物依存者の回復のサポートを続ける。
2002年、薬物依存症からの回復を支援する市民団体「Freedom」を多くの賛同者とともに設立。新たな社会資源の創出に向けて奔走中。
ピア・ドラッグ・カウンセラー。神戸学院大学学際機構客員教授「薬品危機管理論」。


【御苑生笙子(みそのおしょうこ)さん】
セックスワーカーの自助グループSWEETLY(Sex Workers! Encourage, Empower, Trust and Love Yourselves!)の運営スタッフ。
非へテロシングルマザー。
エイズ・セクシュアルマイノリティー・セックスワーク・貧困などに関わる活動をいろいろ細々やってきました。
一緒にミックスのセクシュアルマイノリティーグループを作り15年以上活動し、子育てにも関わってもらっていた同い年のゲイの友人を2年前自死で失ったことをきっかけに、貧困関係の活動を続けておられる様々な方との出会いがありました。
彼の話、彼を失った私たちの話、新しい出会いの話、その出会いから生み出していきたいことについて話し、それを次の出会いにつなげていきたいと思っています。
SWEETLY:http://www.facebook.com/SWEETLY.jpn
御苑生笙子:http://girls-health.typepad.jp/workers_live/archives.html?id=gl-live3

2012年10月25日木曜日

イベント告知【セクマイ×貧困】

最近話題の貧困問題。失業、生活保護、依存症、介護、育児、、これらは当然、セクマイにもあります。

しかし、貧困問題はモテ重視の当事者コミュニティでは見て見ぬ振りをされがちで、貧困問題に関わる支援者はカムアウトの壁があって問題の核心に近づけない事が多いです。

そこで、その谷間にどのような現実があるのか、実際の大阪の事例をシェアするトークイベントを企画しました。セクマイと貧困の谷間を埋める知恵を、一緒に考えたいと思います。
当イベントは当事者に限らず、いろんな方の参加をお待ちしております。

【セクマイ×貧困】
日時 2012年11月24日(土) 16:00-
会場 FACTO
http://facto.jp/access
ゲスト 倉田めばさん、御苑生笙子(みそのおしょうこ)さん
参加費 無料
要事前申込(会場の広さの関係で、参加ご希望の方は事前にメールもしくはTwitterで、お名前と人数をお知らせ下さい。お名前は受付で使用するだけですので、仮名でも結構です。)

イベント告知【セクマイ×地域】


セクマイが生きやすい社会になるためには、その周囲の人の理解が欠かせません。しかし、セクマイに関する教育がない日本で、ばらばらな認識をもった人たちに、どうやって話したらいいのか、どうしたら分かってもらえるのか、、これはとても難しい問題です。しかし、コミュニケーションしなければ、一緒に何かをつくることはできません。

そこで、セクマイ当事者活動で、行政、教育、地域コミュニティ、マスコミ等と、いわゆる外向きの活動をしている人を集めて、その経験をシェアし、セクマイ問題を知らない人たちとどう繋がっていけるのかを考えます。

当イベントは当事者に限らず、いろんな方の参加をお待ちしております。セクマイ当事者が見えない、コミュニケーションに壁があるように感じてしまうとしたら、それはどうしてなのか、是非一緒に考えて頂ければと思います。

【セクマイ×地域】
日時 2012年11月11日(日) 13:30-16:00 (※関西レインボーパレードの翌日)
会場 難波市民学習センター 講堂
http://www.osakademanabu.com/namba/
ゲスト 星野慎二さん、ひろこさん、石崎杏理さん
参加費 300円
参加申込不要

11/11、11/24に大阪でセクマイ関連イベントを開催

11/11、11/24に大阪でセクマイ関連イベントを開催します。詳細は後日こちらに掲載します。是非、チェックして下さい。
Twitter @kururinosaka